特別なのは私だけ
シンくんが照れたようにいった。
「うん。彼女」

シンくんの嬉しそうな顔、嬉しそうな声、見たくないききたくない。
現実なんか知りたくなかった。
ダメだ泣きそう。

「ところでアヤはタクミとどっか行ってたの?」
不意にシンくんが聞いてきた。

「え??タクミ?」
意味がわからないと思っていたら後ろから急に声が聞こえる。

「見てわかんねー?デートの帰りだよ!」
後ろを振り返る暇もなく手を引かれ歩き出した。
「じゃーなシン。」

手を引いているのはタクミ
「え?タクミ?なにしてるの?ってか何いってるの?」
意味がわからないままタクミに手を引かれる。

「うるせーなー。泣きそうな顔してなにいってんだか。」
ちょっと不機嫌なタクミ

でも、よかった。きっとあの場にいたら泣いてた。
「タクミありがとう。」聞こえるか聞こえないような声でいった。

「は??聞こえねー!タクミ様ありがとうございますだろ??」
笑ってタクミが言う。

「聞こえてるじゃん!!!バカ」
思わず笑ってしまう。
「タクミなんであんなとこにいたの??」

「あー遊びに行って帰りだよ。とりあえずお前が泣きそうだったからな。まさかシンに彼女紹介されてショック受けてるとかないだろうな?お前もうキッパリあきらめたんだろ??」

そう言われて恥ずかしくてそのあと何も言えないままタクミに手を引かれて家まで帰った。

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