▼私の覚悟、そして未来
部屋に戻ってすぐに彼の横に
駆け寄って行ったが、
かける言葉が見つからない。
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何も言わず、彼の手をそっと握りしめた。
数秒後、彼は何か決意したように
わたしの手を放し「ごめん」とだけ言い残し
一度も振り返ることなく行ってしまった。
その切ない後ろ姿は今でも鮮明に覚えている。
身長180cmもある蓮がとても小さく見えた。
実はこの時、私は実感がなんとなくわかなかった。
わたしって蓮のこと全然知らなかったのかなと
この一連の出来事を冷静に捉えていた。
どうして突然いなくなってしまったの……
というような感情は正直なかった。
そのせいか、涙も流すことなく
ちょっとの間は普通の日々を過ごしていた。