アイ・ミス・ユー


「笑うってことは君もそう思ってたわけだ」

「い、いやそれは……、う〜ん……」

「否定しようよ、そこは」

「ふふふ」


お互いに笑みがこぼれ、目が合う。
慌てて顔ごと逸らしておいた。


「言いたいことが言えなかったの」


木々の隙間から漏れてくる日差しを踏みしめて、私がつぶやく。
彼は相槌を打つこともなく、視線だけを私に向けてきた。


「健也と付き合ってる間、楽しかったけど苦しかった。良く見せようと頑張って、結局息苦しくなって。それなのに彼の気持ちが重くて受け止められなくなって……。肝心の別れの言葉も切り出せなかった」

「じゃあ、あっちから別れようって?」

「うん。そんなんじゃ一生いい恋愛出来ないよ、って。それは言えてるよね。素直になれないんだもの」

「この間も言ってたね、素直になるとかならないとか……」


金子に言われて、そうだったっけとハッとした。
案外、私はこの人に色々話してしまっているらしい。


「俺は十分、綾川さんは素直だと思ってるけど」

「え?どこが?」


切実に金子の言葉の信憑性を疑ってしまい、即刻聞き返してしまった。

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