アイ・ミス・ユー
帰り道は、いったん札幌駅まで車2台で戻り、そこで各自解散となった。
すでに千鳥足になるほど酔っ払った人も何人かいて、その人たちは強制的にタクシーへ放り込まれる。
私はというと、当然のように金子に腕を引かれた。
「家近いんだから、乗っていきなよ」
行きと同様、今野くんの軽自動車でここまで戻ってきた私は、金子の車に乗るのは初めてだ。
そろーりと後ろを見ると、樹理が笑顔で金子に手を振っていた。
「悪いね、金子くん。結子のこと送ってってよ。頼んだよ〜」
「うん、分かった」
このあと樹理とお茶して帰るという話を、確か帰りの車で話したはずなのに。
彼女はいとも簡単に私を置いてさっさと行ってしまった。
これは、完全に私たちをくっつけようって魂胆だ。
仕方なく観念して、彼に促されるまま車の助手席に乗り込む。
運転席に座る金子が、少し申し訳なさそうに目を伏せた。
「ちょっとタバコ臭いかも。窓は開けておくけど、暑い?」
「暑くないから大丈夫。タバコって、主任は吸わないよね?」
「うん。部長たちが吸ってたから。俺は数年前に禁煙したの」