アイ・ミス・ユー
これはマズい。
たぶん、非常にマズい。
どこから金子に見られていたのかは分からないけれど、コソコソと健也と顔を近づけて話していただけじゃなく、別れ際に親密っぽいところを見せてしまった。
私と健也の仲を疑われたような気がしなくもない。
だからと言って言い訳するようなことは何も無いわけで。
金子の誤解は解きたいけど、付き合ってもいないのにそれはおかしいことだ。
健也が小西巴さんという婚約者をかばうために私に謝りに来てくれたということが、新たに余計な誤解を生み出してしまった。
今すぐ金子に面と向かってさっきのことを説明したいという気持ちは、仕事中だからとどうにか押し込んだ。
まずは、明日から始まるフェアのことだけ考えよう。
煩悩を追い払うように頭をブンブンと振って、慌てて仕事に戻ったのだった。