アイ・ミス・ユー


あぁ、なんだか私。
もう自分を止められなくなってる。


そう思った時に、金子の声が聞こえてきた。


「今すぐ会いに行く。部屋の番号は?」

「ごっ、502号室……」

「会いに行くよ」


暗くて、金子の表情はあまりよく見えなかった。


ただとりあえず、ものすごく恥ずかしいことを口走ってしまったということだけは理解していた。


会いに行くよ、って言ってた。
その証拠に、向こうのベランダに彼の姿はもう無い。


アタフタしている間に、オートロックのインターホンが鳴る。
モニターにはさっき別れた金子がそのままの姿で映っている。
震える手でロックを解除した。


ハッと我に返り、朝テーブルの上に広げて片付けていないメイク道具をポーチに押し込んだり、雑誌をラックに詰め込んだり、玄関に行って靴を揃えたりした。


もう、後戻りは出来ない。


今度は部屋のインターホンが鳴り響いた。
鍵とチェーンを外して、ドアを開く。


するりと体を滑り込ませるようにして金子が玄関へと入ってきた。

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