アイ・ミス・ユー


「部屋に呼ぶってどういうことか分かってる?」


金子に尋ねられて、うなずく。


「何もしない保証なんて出来ないよ、俺」

「分かってる」

「ビンタされてもやめないよ」

「………………いいよ」


答えた瞬間、狭い玄関で抱きすくめられた。


「別れるたびに離れたくないと思ってたのは俺の方。だけど、また拒否されるのが怖くて踏み出せなかった」


切なささえ感じる彼のつぶやきは、私の胸を締め付けた。
ごめん、と言う言葉よりも先に、彼をきつく抱きしめ返した。


「5年前の俺を、許してくれる?」

「許すもなにも…………」


息苦しいほどの強い抱擁に、すでに腰が砕けそうになっている私は、なんとか言葉を絞り出した。


「もう、こんなに好きになっちゃったんだから………………。責任とって」


言い切るかどうかのところで、彼に唇を塞がれた。

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