アイ・ミス・ユー
私の言葉に、金子は心底嬉しそうな笑顔になり、繋いでいる手に力がこもった。
「じゃ、決まり。明日はどこかに出かけよっか」
「…………うん」
手を繋ぐだけじゃ足りなくて、もっとくっつきたくなって腕を組んだ。
彼を見上げると、優しく微笑んでいる。
その顔に癒されてるなんて、本人は気づいていないんだろうな。
「ねぇ、金子くん」
寄り添って歩きながら、ふと思いついたことを口にしたくて彼を呼んだ。
「ん?」と聞き返す低い声も、これまた心地よくて好きだなぁなんて思ったりして。
「同棲、しませんか」
「━━━━━えっ?」
意表をつかれたらしい。
金子は目をまん丸にして、予想外の私の誘いに戸惑っていた。
「家に帰ると、すぐに会いたいって思っちゃうの。寂しくなるの。結婚はさすがにもう少しお付き合いしてから……って思ってるから、だからその前に同棲出来たらなって。………………どうかな」
持てる限りの力を出した、私の素直な思い。
プロポーズを断った時から考えていたことだった。
この人になら、私のすべてを見せられると。
受け入れて欲しいから、まずは同棲から。