アイ・ミス・ユー
「一緒に季節が変わっていくのを2人で過ごして、1年後にもう一度プロポーズしてほしいの。その時は、絶対に受けるから。ほんと私、ワガママだけど……」
言い切らないうちに、私の体が宙に浮いた。
わぁっ、と悲鳴を上げそうになり、彼に抱っこされていることに気づく。
なんてことを!道端で抱き抱えられるなんて!
「お、降ろして!」
「大丈夫」
金子は私の訴えを遮って、もう目前まで迫っているマンションに向かって走り出した。
時間が遅いので通行人や車通りはそんなに無いけれど、ゼロというわけではない。
人目が気になって仕方ない私とは対照的に、彼は全く気にならない様子だ。
「一刻も早くキスしたいから、早く部屋に行こう」
「バカじゃないのっ」
「必ず幸せにする」
「こんなところで言わないでよっ」
「絶対に1年後、結婚しよう」
「…………………………うん」
結局、私はこの人のペースに巻き込まれるのよね。
それもまた、半年間で変わった彼への気持ち。
真っ直ぐで、真面目で、時々天然で、優しくて、マイペースな彼は。
私の好きな人。
私の、たいせつな人。
1年後のプロポーズ待ってます。
おしまい。