アイ・ミス・ユー
チュンチュン、というスズメかなにかの小鳥の鳴き声が窓越しに聞こえてきて、カーテンの隙間から漏れる朝日で目が覚めた。
携帯のアラームより先に起きることが出来て、なんとなく嬉しい。
漫画のような理想的な朝の目覚めで、ベッドから上半身を起こして伸びをした。
そこで気がつく。
部屋が自分のものではないことに。
さらには自分が下着姿であることに。
「どこだ、ここ……」
やたらと巨大なベッド。
小ぶりななんちゃってシャンデリアが天井から吊るされている。
あまり趣味がいいとは言えない部屋。
すると、私の隣で何かがモゾッと動き、次の瞬間ドン!!という大きな鈍い音が聞こえた。
あまりにも凄まじい音だったので、思わず身構えてしまうほどだ。
何かがベッドから床へ落ちたようだ。
なに、今の音。
おそるおそるベッドの上からそーっと見下ろしてみる。
━━━━━そこにいたのは、今野拓。
しかも、ベッドから落ちたっていうのにスヤスヤ寝ている。
ヨダレまで垂らしながら。
「落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け、落ち着くのよ私」
呪文のようにブツブツ唱え、記憶を掘り起こす。
チラリと下を見れば上半身裸のボクサーパンツ1枚の後輩が寝ている。
この状況ってアレじゃないの?