アイ・ミス・ユー
ひと息ついて記憶を整理したあと、いまだに床で眠りこけている今野の頬を容赦なくビンタした。
「起きろ、今野!」
「い、いってぇ〜!!」
今野は痛みですぐに目を覚まし、叩かれた頬を手でさすりながら体を起こした。
「いてぇ!何するんですか山崎さん!そんな起こし方酷すぎる…………って、え!?な、な、な、なんでそんなカッコしてんですか!?」
私がブラとショーツで堂々と起こしたもんだから、彼は大混乱して慌てふためき、視線を宙に飛ばすようにフラフラと上の方にずらす。
この反応から察するに、こいつ、やっぱり昨夜の記憶は無いらしい。
悲しいことに私にはその記憶はある。
このヘタレ男に無我夢中でキスされたのとか、熱い手で触られたのとか、案外しっかり覚えていた。
「あんたが剥がしたんでしょーが。ったく、記憶無くすぐらいならペース上げて飲むんじゃないよ」
「え?え?え?ど、ど、ど、どういうことですか!?お、俺、何をやらかしたんですか!?」
顔面蒼白の今野は、面白いくらいに動揺していた。
「なんでこの姿見て分からないの?あんたってほんとバカ」
「えっ!?まさか、本当に俺……山崎さんと……」
「言っておくけど、襲ってきたのはそっちだからね」
「ええええええええええええええええ」
今野の絶叫が部屋中にこだました。