アイ・ミス・ユー
その夜、仕事を終えて急いでカフェ・コゼットに向かった。
30分ほど前に洋次郎からラインが来ていて、彼はすでにお店に到着しているらしい。
コーヒーでも飲んでのんびり待っているんじゃないだろうか。
スマホで『もうすぐ着くよ』と洋次郎にラインを送ろうとしたら、タイミング悪く誰かから着信が入った。
画面には『今野拓』の文字。
ここ1ヶ月、ちっとも私に接触してこなかったくせに。
今日は何があったって言うのだろう。
これから洋次郎と会うわけだし、電話が長引いても良くないので後でかけ直すことにして、今野からの電話は無視することにした。
昼間のこともあってちょっとムシャクシャしていたし、落ち着いて話せる気もしなかったから。
「洋次郎、お待たせ」
コゼットに到着すると、入口から近い場所に洋次郎が座っていた。
私が声をかけると右手を上げてニコリと笑った。
「急がせて悪かったな」
「ううん、別に気にしないで」
「なんか食ったら?腹減ってるだろうし、奢るよ」
「彼氏でもない人に奢ってもらうのは遠慮してますので〜」
メニューを開くより先に、店員さんを捕まえてコーヒーを注文した。
洋次郎の前にはすでに半分ほど飲んだコーヒーカップが置いてある。
「で?話したいことって?」
まだコーヒーは来ていないけれど、話の内容が気になったので洋次郎をせっつくように問いかけた。