アイ・ミス・ユー


「いえ。めちゃくちゃ傷つきましたけど、もう大丈夫です」


少しずつ、ゆっくり、今野が近づいてくる。
もういつもの彼。
笑顔の今野拓。
やっぱりこの人は笑ってるのが一番いい。


「だって、いま山崎さんが泣いてるのって、俺のためですよね?」

「………………知らない」


ポロポロこぼれる涙を拭いながら、必死にこれはこいつのためなんかじゃないって言い聞かせるけど。


もう、バレてるらしい。


通行人がいるっていうのに、今野は私を抱きしめてきた。


「バカッ。自惚れないでよ!あんたなんか好きじゃないんだから!」

「分かってます」

「年下は対象外なんだから!」

「分かってます」

「……………………………………好き」

「………………俺もです」








こうして、バカップルは誕生したというわけなのだ。








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