アイ・ミス・ユー
年下男子も悪くない。
「あの夜のことよく覚えてないんで、ちょっと思い出すためにもうちに来てください」
という、今野による非常に分かりやすいあからさまな誘い文句を拒否することなく、その夜は彼の家に泊まった。
男のロマンだと言い張って自慢していたガンダム系のプラモデルやら、トミカのコレクションが雑に棚に並べてあったり、飲みかけのペットボトルがそのへんに落ちてたり、ヤツが住んでいる部屋は「ザ・男のひとり暮らし」って感じだったけど。
お酒が入っていないため、ものすごくぎこちない彼の抱き方で、彼なりの緊張感が伝わってきたので許してやった。
おしゃべりな男はベッドの中でもよくしゃべり、その都度私からのツッコミで楽しそうに笑っていた。
やっぱりこうやってアホなことを言い合えるのって、心地いい。
ずっと年上の落ち着いた男が好みだって思ってたけど、子供みたいに無邪気に楽しませてくれる男も悪くないかも。
「………………お腹空いた」
朝起きて、ベッドにゴロンと寝転んだまま今野の腕の中で私がつぶやくと、彼は「何か買ってきます?」と体を起こした。
「すぐそこにコンビニあるんで、適当に買ってきますよ」
「……ううん、いい。なんか作る」
「え!マジっすか!」
ベッドから抜け出して、服を身につけながら勝手にワンルームの部屋の中にある冷蔵庫を開ける。
そこそこ食材は入ってるので、何かは作れそうだ。