アイ・ミス・ユー
えっ?一体何が起こってるの?
起こっている事態に頭が追いつかない。
そうこうしている間に、金子は私を連れて盛り上がる部屋をあとにした。
こもっていた煙たい空気が無くなり、スーッと胸のムカムカも消えていく。
ふーっと深呼吸していたら、トイレから戻ってきたらしい樹理と鉢合わせした。
「あらっ!?おふたりさん、どうしてこんなところに?」
樹理は芝居がかったわざとらしい言葉を口にして、ペシッと自分の額をこれみよがしに右手で叩いた。
「あー、私ったら野暮なこと聞いちゃったわね。ごめんごめん。みんなにはうまく言っておくから!」
「樹理!違うから!」
一喝するように睨むと、金子が落ち着いた様子で首を振った。
「そう、違う。綾川さん、具合悪いらしいから帰らせる。みんなには山崎から伝えておいてくれる?……って言っても、みんな酔っ払ってるから誰も気にしないと思うけど」
「あ、そうなの。結子、大丈夫?」
「私は全然だいじょ……」
「じゃ、そういうことだから。今日はありがとう。お疲れさん」
帰るほどのことでもないと反論したかったのに、金子はそうさせてくれなかった。
ニヤつく樹理に助けを求めようにも、そんな暇もなく金子に引っ張られてカラオケ店から出ることになってしまった。