アイ・ミス・ユー
シャープな目元に、少し色白の肌。
細身の体型に、まぁまぁ高い身長。
なんというか、どこにでもいそうなそこそこの容姿。
見たことがあるような、無いような。
でも私の名前を呼んできたということは、きっとどこかで話したことがあるということだ。
もしかして、大学が一緒だったとか?
黙り込む私に、金子が困ったように笑った。
「もしかして俺のこと……覚えてない?」
「……ご、ごめんなさい。どこかで会ったのかな?」
「ううん。覚えてないなら、それでいいよ」
会ったことがあるということは間違いないらしいけれど、残念ながらこの場では彼が誰なのか全く心当たりが無かった。
人として失礼な上に非常識で、そして記憶力の低さに自分でガッカリする。
すると隣にいた樹理が楽しそうに笑って、からかうように私の腕をツンツンつついてきた。
「結子〜。ちゃっかり他の店舗の人とも知り合ってたってわけ〜?すぐそばにあんなイケメンの彼氏がいるくせに〜。小野寺さんに言いつけちゃうよ?」
「ちょっと、樹理。違うよ、そういうのじゃないって」
どちらかと言うと私はわりと一途な方だと自負しているし、告白に関しても別れに関してもうまく自分からは切り出せないので、相手から言ってもらうのを待つタイプだ。
それなのにわざわざ浮気と勘違いされるようなことを自らした覚えは無い。