アイ・ミス・ユー
「仕事に集中……とか言いながら結局恋人を作ったりして、信じられない……とか思ってる?思ってるよね?自分でも呆れるよ、言ってることとやってること違うもの」
「別にいいよ。人を好きになることって、なかなかコントロール出来ないから」
「そ、そう……かな」
苦笑いしてごまかしながら、無表情の金子を見やる。
なんか、なんか。怒ってないか?
気のせいか?
「自分に腹が立ってる」
私の疑問が顔に出ていたのか、金子がつぶやいたのは答えに近いものだった。
「え?なんで?」
「もっと最初にインパクト残しておけばよかったって。後悔してる」
「ううん!違うよ、私の記憶力が低いから覚えてなかっただけで」
フォローしなくちゃ!と意気込んで否定しかけた私の目の前が、一瞬にしてフッと真っ暗になった。
柔らかい何かが唇に押し付けられる。
反射的に目をつぶったものの、直後に開眼した私は事態を飲み込んだ。
キスされている。
抵抗する隙もなく、唇はすぐに離れた。
ポカンと口を開けたままの私に、金子は少しだけ勝ち誇ったような表情を浮かべて、
「これで、きっともう俺のこと忘れないでしょ」
と言った。