アイ・ミス・ユー
「不思議系男子ってなに?」
不意に金子が私の顔をのぞき込んできて、訝しげに眉を寄せた。
心の声が口から漏れ出ていた事実と、顔が近づいてきたことに驚いて思い切りのけぞった。
一体どのへんから声に出して言っていたの、私。
動揺して勢いよくのけぞったので、逆隣の中年の男性に肩が当たってしまった。
「あ、ごめんなさいっ」
瞬間的に謝ったものの、その男性は見るからに迷惑そうな「なんだコイツ」という目をして、シッシッと犬でも追い払うかのように手を振っていた。
そんなあからさまな反応しなくたって。
謝ったのに。
それなりに気が強い私は文句のひとつでも言ってやりたい気分になったけれど、大人なので思いとどまる。
そうしているうちに、ひょいと金子の手が私の腕を引いてきた。
グイッと彼に身を寄せる形になって、一瞬ドキッとしてしまった。
「席、代わるよ」
「えっ、……い、いいよ」
断ろうとしている間にも金子は立ち上がり、こっちに来いとばかりに待っている。
仕方なくお言葉に甘えて、席を交換してもらうことにした。
「…………あ、ありがとう」
お礼を言うと、彼は優しく笑ってくれた。