アイ・ミス・ユー


「なんかだんだん綾川さんが中島みゆきに見えてきましたっ」


歌っている最中にも今野くんの野次のような褒め言葉が聞こえてきて、『うっさい!』とマイク越しに怒る。
今野くんは楽しそうに笑っていた。


ようやく1曲歌い終わって、ヨロヨロとマイクをテーブルに置くと、今野くんがそれを今度は金子へと渡しに行く。


「さぁ、主任!みなさんがお待ちかね、森山直太朗ですよ」

「今野、俺は本当にカラオケは……」

「さくらですよ!独唱です!お願いします!」


嫌がる金子を押し切る形でマイクを握らせた今野くんが、期待に満ちた顔で腰を下ろす。


「たしかにあいつ、話す声はけっこう低くていい声してるわよね。ちょっと楽しみだわ」


私の隣で樹理までもがちょっと身を乗り出したりしていて。
なんだかこっちまでソワソワしちゃうじゃないの。


『んん、んんん!』


マイクを握って、大音量で金子の咳払いが聞こえる。


いざ、歌唱!


















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