アイ・ミス・ユー
6 そうだ、キャンプに行こう
日本列島が梅雨明けし、北海道にも短い夏がやって来た。
湿気の少ないこちらの夏は、比較的過ごしやすいのではないだろうか。
しかし、道産子は暑さには少々弱いのだけれど。
「あーもう最悪〜!日焼け止め塗ってくるの忘れちゃいました〜」
助手席から翡翠ちゃんの甲高い悲鳴にも似た声が飛んでくる。
運転席には今野くん。
私は樹理と隣り合わせで、後部座席に落ち着いている。
「黒こげになった田上さんもいいと思うよ…………たぶん」
「ちょっと今野さん、適当に言ってません?」
「あ、バレた?」
若いふたりの会話をBGMに、樹理はウトウト眠りにつきそうになっている。
軽自動車にきっちり4人乗って、私たちはあるところに向かっていた。
そう、キャンプ場だ。
貴重な定休日でもある第二水曜日の今日。
酒田部長の呼びかけで、販促部のみんなでデイキャンプに行こうとなったのだ。
当然、結婚して子どもがいる社員たちはこぞって欠席を表明、独身組が参加せざるを得ない状況に陥ったのである。
面倒見がいい酒田部長のこういったお誘いは年に一度必ずといっていいほどやって来る。
まぁ、なんだかんだ毎年参加すると最終的には楽しく過ごせるからいいのだけれど。