アイ・ミス・ユー


キャンプ場に到着して、ぞろぞろと列を作るようにして歩く。


テントや鉄板や食器など必要なものはほとんどキャンプ場で貸出してくれるので、私たちが用意したのは食材のみ。


女性陣は野菜やお肉など、男性陣はビールやお茶などの重いものをそれぞれ分担して運び入れた。


一体何キロ購入したのだろうと思うほどになかなか重いお肉の詰め合わせ。
しっかり発泡スチロールに入れてもらったそれを、何気なくひとりで運んでいたら後ろから声をかけられた。


「大丈夫?重くない?」


この声は、と振り返ると金子。


そういえば、今日って仕事?プライベート?
言葉遣いどうしよう。
敬語にしようか、タメ口でいいのかな。


迷っているうちに、彼は自分が持っていた瓶ビールのケースを軽々と肩に担ぎ、私の荷物をするりと取り上げて歩き出してしまった。


「い、いいです!重いから!」


しどろもどろになりつつ結局タメ口で止めると、金子は少し困ったように笑った。


「これでも男ですから。こういう時くらい頼ってよ」

「………………あ、ありがとう……」


しまった。
ちょっとだけドキッとしてしまった。


< 97 / 196 >

この作品をシェア

pagetop