君に捧ぐ、一枝の桜花
「もう生きたくないのに、毎日ここに閉じ込められて、美味しくない薄味の食事をして、何度も何種類の薬飲んで、あれはだめだ、これはだめだと物覚えつく前からずっと強いられてきた僕の気持ち分かる?」
「・・我はお前なのではないのだから、分かるか!」
「でしょ?分からなくていいんだ。だって・・っつ」

不意に明が表情を歪めた。左胸を掴むようにして押さえる。

「・・っ・・興奮したから・・っ」
「おい?」
「あっは・・駄目だね・・感情が高ぶったら・・」

最後の言葉を紡ぎ終わり前にユラッと明の身体がベッドへ傾く。

「おい!」

ベッドに倒れた明を揺する。目を固く閉じたまま、微動さえしない。左胸を押さえている手に視線を落とす。

『うん、まあね。僕、心臓病なんだ。しかも原因不明で僕自身特殊血液型。だから移植もバチスタもできない。投薬だけ。おかげで大きな心臓発作が起きたら死ぬわけ』

「・・発作か!?」

ドアを勢い良く開け、廊下に出る。廊下に出て曲がり、真っ直ぐ行くとナースステーションだ。

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