君に捧ぐ、一枝の桜花
「お前が狩ったのか!?」
しかし、例外がある。その1つが防人の死である。防人が死んだ時には必ず死神がその魂を狩る。それは死んだ際、唯一防人の持つ力が弱まるためだ。それを狙ってくる悪霊や魔物がいたりするのだ。
「お前が奴を狩ったのか!?」
食いかかるようにして青年の白衣の襟を掴む。
「ええ」
青年は頭一個分小さい吉野を真っ直ぐ見下ろしてきっぱりと肯定した。吉野は目を伏せて、襟を掴んだ手を離した。そのまま床に座り込む。
「夏蜜柑ですか」
青年は床に転がった夏蜜柑を1つ手にとってみた。くんくんと実の香りを嗅いで表情を綻ばせた。
「夏蜜柑の花言葉は『健康美』 師匠にとって一番、無縁だったものですね」
青年が夏蜜柑を投げる音が響く。
「これ1つ頂いても?」
「・・・・」
顔を上げた時には、すでに青年の姿はなかった。
しかし、例外がある。その1つが防人の死である。防人が死んだ時には必ず死神がその魂を狩る。それは死んだ際、唯一防人の持つ力が弱まるためだ。それを狙ってくる悪霊や魔物がいたりするのだ。
「お前が奴を狩ったのか!?」
食いかかるようにして青年の白衣の襟を掴む。
「ええ」
青年は頭一個分小さい吉野を真っ直ぐ見下ろしてきっぱりと肯定した。吉野は目を伏せて、襟を掴んだ手を離した。そのまま床に座り込む。
「夏蜜柑ですか」
青年は床に転がった夏蜜柑を1つ手にとってみた。くんくんと実の香りを嗅いで表情を綻ばせた。
「夏蜜柑の花言葉は『健康美』 師匠にとって一番、無縁だったものですね」
青年が夏蜜柑を投げる音が響く。
「これ1つ頂いても?」
「・・・・」
顔を上げた時には、すでに青年の姿はなかった。