どこまでも、堕ちていく。
隣町で歳も近ければどこかで会っていても何ら不思議はない。
この間の不思議な感覚の理由が分かり、つかえていたものがスッと消えていく。
"どこかであったことがあるような感覚"
ただそれだけだけど、旦那以外の男性に不思議な感情を抱いてしまったことに罪悪感を感じていたんだ。
「先生とずいぶん楽しそうだったじゃない!何話してたの?」
幼稚園を出たところで由美がニヤニヤしながら私の顔を覗き込んできた。
「普通に子どものことだよ」
「何だか学生のカップルみたいだったわよ?」
「へ?何それ。冗談やめてっ」
「だってお似合いだったから。主婦と幼稚園の先生の危険な……」
「由美さん、テレビドラマの見すぎだから」
こういう悪い冗談を言うのが由美だ。
100%冗談、遊ばれてるのも分かってるから別に気にはしないけど。
「うそうそ。あんなに素敵なご主人いたら他の男になんて興味いかないよね」
「すて、き…?」
「素敵なご主人じゃないのー!長身でイケメンさんだし優しそう」
「…」
「子煩悩そうだしいいパパって感じ。今34歳だっけ?」
「うん」
「うちの主人と同じ歳か。うちのなんてお腹出てきたしえらい違いだわ」
優しくて子煩悩… か。