どこまでも、堕ちていく。

他人から見たらきっと"かっこいい旦那"とか"子煩悩なパパ"という評価なんだろう。
実際の家庭は冷え切っているんだけどな…。
多分、彼のほうは冷え切っているという自覚すらない。
無関心だから。


1人になった帰り道、私はふと結婚前のことを思い出した。
友人の紹介で出会った私と道弘。
当時はOLをしながら、モデルになることの夢を諦めきれずに広告モデルの仕事をしていた。
新鋭IT企業の社長と冴えない広告モデル。
どう考えても釣り合わない2人だけど、なぜか彼は私に夢中になり何度も積極的にアプローチをされた。

プロポーズの言葉は『永久就職しないか?』という歯が浮くような一言だった。
今思えばお寒いし時代遅れもいいところだけど、当時は本当に嬉しくて幸せだったなぁ。
モデルの夢をきっぱりと諦めて家庭には入れたのも、彼の真っ直ぐすぎる愛情があったから。


そして"永久就職"のその後が、今のこの状況だ。
結婚ってなかなか難しいー…。



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