どこまでも、堕ちていく。


旦那は家庭よりも仕事重視の人だ。
その傾向は日々エスカレートしていて最近では私や息子にほとんど関心がない。

でもその分良い暮らしをさせてもらっているし大きな不満はなかったんだ。
あの日を境に旦那が"豹変"するまではー。



「ママー。ようちえん、やだ」

幼稚園のすぐ前まで来たところでスカートの裾を引っ張られた。
振り返ると不満そうな雅紀の顔。
まさかここまで来てダダをこねられるとは思わなかった。

「どうして?美羽ちゃんがお休みだから?」
「うん」

雅紀は極度の人見知りだ。
新学期になって2年保育の園児たちが入ってきたせいか、幼稚園での居心地が良くないらしい。
それでも仲良しの美羽ちゃんがいればご機嫌なのだが、あいにく彼女は昨日から風邪でお休みしている。


『…あれ? 彩?』

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