どこまでも、堕ちていく。

「隆志ーーー!懐かしいなぁ、元気か?」
「先輩こそ!」
「???」

突然目の前で抱き合う2人に目が点になる私。

「先輩、いつから東京来てたんすか?」
「春からこっちの幼稚園に勤務してんだ」

何が何だか分からずフリーズしている私に気づき、隆志が口を開いた。

「彩、もしかして山本先輩の幼稚園に通わせてるの?」
「うん、そうだけど」
「山本先輩は俺の大学時代の先輩なんだよ。同じサークルだったんだけど、同郷ってこともあって色々と世話になって」
「そうなんだ!」
「山本先輩、俺と彩は幼馴染なんです」

突然のW再開と物すごい偶然にただただ驚くしかない。
まさか自分の息子が通う幼稚園の先生と幼馴染が知り合いだったなんて。

「じゃあ月影さんも相模原のご出身なんですね」
「あ、はい」
「やべぇ。仕事戻らないと!彩、また今後みんなで集まらね?うちの嫁さんも彩に会いたいと思うし」
「そうだね!私も会いたい」
「メアド変えてない?」
「うん」
「じゃあ先輩、この辺配送エリアなんでまた後日!」

そう言い残し慌しく去っていった隆志。
取り残された私たち3人は何とも言えない空気に包まれる。

「相変わらず落ち着きのない奴だなぁ…」
< 19 / 35 >

この作品をシェア

pagetop