どこまでも、堕ちていく。
「まさきー!早く支度しないっ」
午前8時。
この時間の我が家はいつも戦争だ。
「雅紀?」
ボサボサの髪を束ねて慌しくリビングに向かうと、1人息子の雅紀がぼーっと椅子に座っていた。
まだ半分くらいしか手をつけていない朝食を見てギョッとする。
「えっ、まだ食べ終わってないの?」
「うん…」
「お腹痛いの?」
雅紀の顔を覗き込むと彼はフルフルと首を横に振る。
「ようちえん、いきたくない」
「…」
心の中でまたか、とため息を付きながらも私は雅紀の頭を優しく撫でた。
「雅紀は今日から年中さんなんだよ?お兄さんなんだからしっかりしなくちゃ」
「…」
「今日からね、可愛い年少さんが沢山入ってくるんだよー?」
「…」
無言のままウルウルと目を潤ませる雅紀にお手上げ状態の私。
困り果てていたその時、階段を下りる音が響いてきた。
旦那の道弘だ。