どこまでも、堕ちていく。
「え?」
少し不思議そうな表情を浮かべる隆志。
どうして私がそんなことを聞くのか、その意図が分からなかったんだろう。
「どうって普通だよ。真面目だけどちょっと抜けたところもあるかな?」
「そうなんだ」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「えっ?いや、息子がお世話になる人だからどんな人かなと思って!」
何を動揺しているんだろう。
余計に隆志に怪しまれてしまう。
「でもまさか幼稚園の先生になるとは思わなかったよ。学生時代は陸上やってたし、あの頃は実業団に入るか体育教師にでもなるのかと」
陸上をやっていたなんて少し意外だ。
「先輩も色々苦労してるからなぁ」
「ふーん?」
細かいことは聞かなかったけれど、隆志のその言葉にが無性に気になった。
何故だろう?
不思議と彼のことが気になって仕方ないー。
+++
それから数日後。
いつも夜遅くに帰宅する道弘が珍しく早い時間に帰ってきた。
「彩、後でちょっといい?」
「?」
「大事な話があるんだけど」
いつもとは違う彼の異様な雰囲気に私は首を傾げた。