どこまでも、堕ちていく。
「自分がどれだけみっともないことしてるか分かってるか?」
「みっともいことって…。私はただ幼馴染と話していただけで」
「世間から見ればそうじゃないんだよ!同僚も完全に誤解してる」
「そんなの…」
「俺に教える為にとっさに証拠写真撮ってくれたくらいだ」
「…」
部屋がシンと静まり返る。
自分は全く悪気がなかったし、もちろん誰かに写真を撮られていたなんて全く気がつかなかった。
確かに既婚女性として自覚がない行動だったのかもしれない。
「ごめんなさい。道弘さんに恥をかかすような行動をしてしまって」
「…」
「でもやましいことは一切ないから。彼はあくまでも幼馴染だし、この間再会するまで何年も連絡とっていなかったくらい。これからはちゃんと…」
「もう2度と会うな」
道弘は冷たくそう言って部屋を後にした。
荒っぽく締められたドアの音が胸に響く。
彼はいつも一方的だ。
彼にとって、私は一体何なのだろう…?
+++
「雅紀もうご飯食べたの?」
「うん♪」
いつも朝になるとグズっていた雅紀が最近面白いように変わった。
用意した朝ご飯をパクパクと食べ、自ら幼稚園に行く準備を始める。
「今日もね、なおきせんせーと遊ぶの!」
そう、その理由は"直樹先生"だ。
彼にすっかり懐いた雅紀はまるで別人のように幼稚園が大好きになった。
私としては本当にありがたい。
だけど我が家には問題がもう1つー…。
「行ってきます」
「あ、パパ。今日は遅くなるの?」
「多分」
「そう。行ってらっしゃい」