どこまでも、堕ちていく。

相模原会…? いつの間に名前が付いたんだろう。
さすがイベント好きの隆志、やっぱり準備が早い。

「聞いてます。隆志のことだから大規模になりそうですよね」
「ハハ確かに。月影さんもいらっしゃるんですよね?」
「私は…。行きたいんですけど多分無理かな」
「え? 隆志も奥さんも月影さんが来るの楽しみにしてるみたいですよ」
「旦那が、色々とうるさい人で…」
「そうなんですか。ご結婚されてると色々とありますよね」

"自分は独身なんでその辺は気楽なものですよ~"
冗談ぽくそう言って雅紀を抱き上げた直樹。

「ではまた夕方お迎えにき…」
「あのっ!やっぱり私!!」

思わず大声を上げてしまった私を、驚いたような表情で見つめる直樹。

「大きな声出してごめんなさい。やっぱり私も参加しようかなーと」
「大丈夫なんですか?」
「少しだけなら大丈夫だと思うんで。隆志にもそう伝えといてもらえますか?」
「分かりました。きっと喜びますよ」

私は籠の中の鳥じゃない。
旦那の所有物じゃないし、家事や育児をするだけのマシンでもない。
これくらいの息抜き、たまにはいいよねー…?






そして
"相模原会"と名前の付いた食事会当日ー。

結局、道弘に話さないまま食事会に参加することを決めた私。
もちろん雅紀も連れて。
幸いにも今日、道弘は同僚の人とゴルフに出掛けている。
夕方までに戻ればバレることはないだろうー。


< 26 / 35 >

この作品をシェア

pagetop