どこまでも、堕ちていく。

去年東京の郊外に一軒家を建て、少し気弱だけど可愛い子どもにも恵まれた。
何不自由のない生活。
だけどいつもどこか満たされない気持ちで生活している。

"永久就職"のその後ってこんなものなのだろうかー…?


+++


「由美さん!おはよ」

横断歩道の先に仲良しママの由美を見つけて大きく手を振る。
まだ眠そうな雅紀を引っ張りながら、彼女とその娘の美羽の所へと駆け寄った。

「おはよう。雅紀くん眠そうねぇ」

由美は私より2歳年上の先輩ママ。
男勝りな性格で何でも相談できる心強い人だ。

「それでね、朝から幼稚園行きたくないって…」

他愛のない話しをしながら幼稚園への道を歩く。
雅紀も美羽と手を繋ぎながら楽しそうに歩いている。
さっきまでのぐずり様は何だったのかというくらいご機嫌だ。

2人が通う"さくら幼稚園"が見えてきたところで、私たちはふと足を止めた。
幼稚園の門の所に見慣れない男性が立っていたから。


『おはようございまーす!』
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