ケンショウ学級
「うわぁぁぁあああああっ!!
あ、あっ」
全身にはしる激痛に悲鳴をあげた小池っち。
涙と鼻水が流れている。
「もう、やだ、やめてよ」
恐怖と不安で手は震えていた。
第十九問。
ナタサハ ー マハアニ
フトヤイ ー ラアニサ
チスナワ ー マアハク
ナタサハの組み合わせとして正しいものは?
①マニアハ
②マアニハ
③マハアニ
④ニマハア
「わかんないよ。こんなの。嫌だ!嫌だ!嫌だよ!!」
小池っちは頭をガンガンと机にぶつけた。
その音が隣の部屋に響く。
「…………ちっ、うるせぇなぁ」
アキラくんは催促するように、指で机をしきりに叩いた。
「わかんない。わかんないよ。こんなのわかるわけないじゃないか!
アキラ!止めてくれ」
小池っちの訴えに対して、先生役のアキラくんが実験の中止を希望すれば実験は止めることができる。
それまでには白仮面からの高圧的な4回の拒絶があるのだが、他のブースで同じ結末を辿ったブースでも数度の実験中止の申し出はあった。
しかし。
「なぁ、早くボタン押せよ」
ブース04で、実験の中止が申し出されることは一度としてなかった。
「アキラ…………なんで?
うぅ」
小池っちは適当にただ一番指に近かったという理由で①を押した。
「不正解者には罰を与えてください」
アナウンスと同時に電圧は180ボルトにセットされ、小池っちの懇願がただの壁一枚に仕切られた部屋へ届く前に電気ショックが流された。
「アキラ…………アキラ…………」
小池っちは激痛に苦しみながら、休日に二人で出掛けたことを思い出していた。
そう、それはまるで走馬灯の様に。