ケンショウ学級

友澤くんはしばらく一点を見つめていたけれど、首を振って口を開く。

「いや、でももしそうだとするなら理由は?

俺たちには皆が死んだと伝える理由、被験者になった彼らが選ばれた理由、そしてケンショウ教室の本当の存在理由が分からないじゃないか」

確かにそうだ。

僕らの推理は、いや想像はどの方向に行っても穴だらけでちんぷなものになる。

「悔しいけど、まだまだ情報が足りないね。

けど、一刻も早く多くの情報を手にいれてアイツと対峙しないと僕らはこのまま殺されるのを待つだけになる」

僕らは今、分裂しかけているけれど団結しなくてはアイツの正体には迫れないだろう。

そして、そのチャンスは後一回だけだと僕は知っていた。

でも、そのことを皆に伝えることはなかった。

「情報の整理はもう十分だろう?オレは明日に備えてもう寝るよ」

そう言ったのは寺井くんだった。

僕らは目を背けていたその背中に強引に視線を戻された。

寺井くんは給食を残した。

それは明日の実験で罰として寺井くんが彼検体になることを意味している。

僕は寺井くんにだけは言うべきだったのだろうか?

そしたら三日後の惨劇は起こらなかったのだろうか?

僕らは知るのが遅すぎるんだ。いつも。

…………そう、いつも。





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