ケンショウ学級
強引に眠らされて、知らない間に違う部屋へ運ばれて目を覚ます。
ここへ来て、初めてだろう。
起きなくてはいけないと思いながら起きたのは。
「…………っ」
それは他の皆も同じだったのかもしれない。
僕が目を覚ましたのは早くはなかったけれど、ほとんどの人がほぼ同時に目を覚まして辺りを確認した。
佐野くんは地面に拳を叩きつけたのだろう、痛々しい血が拳を伝っていた。
「やっぱり寺井だけ居ないな」
春馬が近くでそう言った。
「うん、だね」
ここに居ないのは寺井くんだけ。
今回のケンショウは寺井くんを彼検体にして行うのだと、誰もに分かっていた。
だから佐野くんは怒りに満ちていたし、田口くんは悔しそうな顔をしていた。
「無事で居て欲しいね…………」
「…………」
「春馬?」
呟きが聞こえなかったのかと思って、見た春馬の顔は明らかにそうではなかった。
「え?ああ、そうだな」
何かを思い出して憤る。そんな顔をしていたんだ。