ケンショウ学級
数秒の沈黙。そして、ガタッと画面が一度揺れた。暗い部屋を写し出すカメラの後ろから人影がふいに現れる。
暗くてよく見えないが、人影はカメラから三メートルほど離れた場所で、用意されていた椅子に座りカメラの方を向いた。その人物はこちらを見ているのだけれど、暗くて表情どころか顔を見ることもできなかった。
「えー。神楽坂中学二年三組の皆さん初めまして。
君たちはこの国のよりよい未来のためにある研究に参加して頂くことになりました」
得体の知れない人物の言葉に皆が困惑した。そして何よりも僕たちに違和感と恐怖を感じさせたのは変声機の無機質な声だった。
「…………研究?は?なにそれ」
「この人なにいってるの?」
口々にそう言うと、まるでその人物は教室の様子が見えているかのように言う。
「あー、静粛に。
君たちはこれまでの人類の発展の中で、様々な実験が行われてきたことはご存知だろうか?」
実験?なんのことだろう。実験なんてあらゆる学問において当たり前のように行われてきた。その数は無数にあったしアイツはいったいどの実験のことを言っているのだろう。まさか、それって僕が大上先生に借りた本に書いてあるような心理実験の話をしているのか?
「最近の研究で、それら科学的な実験の結果の中で、当たり前と思われていたものの内60%ほどは実は誤っているのではないか?という問題提起がされました。
そこで、我々はこれまで正確なデータであると思われていた過去の様々な実験について、検証実験を行うことを火急案件として再認識するに至ったのです」
大上先生を見ると両腕で自分の肩を掴んでガタガタと震えている。僕らは、あまりの異質に誰もが言葉を失っていた。
「もう勘の良い人はお気づきだろうが、敢えて言語化して伝えることにしましょう。
君たちは過去の研究の真偽を計るための実験に参加して頂くことになったのです。勿論、参加は強制的なものになるので途中退室などは認められません。
更に言うと、過去の実験ではあまりに過激な内容とおぞましい結果故に途中で頓挫した研究もありましたが、それでは検証にはなりませんから、あなた方には最後まで実験を継続していただくことになることを予め伝えておきます」
画面越しの人物は僕らの理解などおいてけぼりにして、話を進めていく。
暗くてよく見えないが、人影はカメラから三メートルほど離れた場所で、用意されていた椅子に座りカメラの方を向いた。その人物はこちらを見ているのだけれど、暗くて表情どころか顔を見ることもできなかった。
「えー。神楽坂中学二年三組の皆さん初めまして。
君たちはこの国のよりよい未来のためにある研究に参加して頂くことになりました」
得体の知れない人物の言葉に皆が困惑した。そして何よりも僕たちに違和感と恐怖を感じさせたのは変声機の無機質な声だった。
「…………研究?は?なにそれ」
「この人なにいってるの?」
口々にそう言うと、まるでその人物は教室の様子が見えているかのように言う。
「あー、静粛に。
君たちはこれまでの人類の発展の中で、様々な実験が行われてきたことはご存知だろうか?」
実験?なんのことだろう。実験なんてあらゆる学問において当たり前のように行われてきた。その数は無数にあったしアイツはいったいどの実験のことを言っているのだろう。まさか、それって僕が大上先生に借りた本に書いてあるような心理実験の話をしているのか?
「最近の研究で、それら科学的な実験の結果の中で、当たり前と思われていたものの内60%ほどは実は誤っているのではないか?という問題提起がされました。
そこで、我々はこれまで正確なデータであると思われていた過去の様々な実験について、検証実験を行うことを火急案件として再認識するに至ったのです」
大上先生を見ると両腕で自分の肩を掴んでガタガタと震えている。僕らは、あまりの異質に誰もが言葉を失っていた。
「もう勘の良い人はお気づきだろうが、敢えて言語化して伝えることにしましょう。
君たちは過去の研究の真偽を計るための実験に参加して頂くことになったのです。勿論、参加は強制的なものになるので途中退室などは認められません。
更に言うと、過去の実験ではあまりに過激な内容とおぞましい結果故に途中で頓挫した研究もありましたが、それでは検証にはなりませんから、あなた方には最後まで実験を継続していただくことになることを予め伝えておきます」
画面越しの人物は僕らの理解などおいてけぼりにして、話を進めていく。