ケンショウ学級
佐野くんの目は真剣だった。それもそのはずだ。ここにいる人は信頼に足る人物だ。
行動力のある佐野くん、だれの補佐でもできる田口くん、成績優秀な原田さん、そうした能力が平均して高い春馬、そして心理学が好きな僕。
そんな人選だ、信用できる。だからこそ、それと同じくらい、いや、それ以上に危険な存在かもしれないんだ。
「お前らも腹割って話そうぜ、誰がアイツだと思う?」
真っ直ぐな問に僕は、すぐに春馬を見てしまっていた。それに気づいた春馬が少し口角を上げた。
直後に、春馬は挙手をして自分の意見を伝えることを意思表示した。
「……オレは正直なところ怪しいとしたら洋平か中澤さんなのかと考えていた」
春馬は委員長と中澤さんを疑っていたのか。
「あの二人はただ学力が良いだけじゃなく、クラスの人望も厚くて、周りを先導するセンスみたいなものがあったように思う。
この実験は一見すると狂った殺戮ゲームに見えるけど、半端な学力や能力では準備も進行もできなだろう。そうなると、それができるだけの人物は限られてくる」
そう、この実験は角度を変えれば『心理実験』に他ならない。倫理観とかそういう難しい話を抜きにしても、それを実行するには知識や行動力、皆を巻き込む雰囲気作り、そして実験場の確保。という、大抵の中学生には成しがたいことを行っていることになる。
それができる中学生なんて普通じゃないけれど、春馬の言う通りその2人にはもしかしたらそんな力があったかもしれない。
「私は正直分からないな。だって、こんなこと考えて実行するなんて私たちみたいな子どもには到底無理な気がするから。
アイツ……が、言っていることだってどこまで信じたら良いのか分からない。だったら私は例えそれで自分が危ない目にあっても友達を……皆を信じたい」
こんな極限の状態の時でも、原田さんはやっぱり原田さんだった。優しくて聡明で、人のことを信じられる。それはつまり強い人なのだと僕は思った。
「オレも正直誰かが犯人だなんて考えられないよ。委員長ほどじゃないけどさ、オレもまぁクラスのみんなと関われる方の人間だと思う。
だからこそ、面白いやつがいて、賢いやつがいて、運動ができるやつがいて、音楽ができるやつがいて、絵だけは上手いやつ、彼女を本当に大事にするやつ、選択科目で社会を選ぶ変人みたいなやつ」
田口くんは最後は僕を見ながら言った。僕は自然と笑ってしまっていた。
「本当にいろんなやつがいて、楽しいクラスだった。体育祭とか何気にまとまりがあったりしてさ。
だからオレも誰がアイツなのかなんて、答えはもってないや」
田口くんは優しい人だ。基本的には佐野くんと一緒にイタズラをしたり目立つことをしていたけれど、クラスの人誰とでも話をしたりできる人だった。
「……分かった。で、お前はどう思ってるんだ?上杉」
行動力のある佐野くん、だれの補佐でもできる田口くん、成績優秀な原田さん、そうした能力が平均して高い春馬、そして心理学が好きな僕。
そんな人選だ、信用できる。だからこそ、それと同じくらい、いや、それ以上に危険な存在かもしれないんだ。
「お前らも腹割って話そうぜ、誰がアイツだと思う?」
真っ直ぐな問に僕は、すぐに春馬を見てしまっていた。それに気づいた春馬が少し口角を上げた。
直後に、春馬は挙手をして自分の意見を伝えることを意思表示した。
「……オレは正直なところ怪しいとしたら洋平か中澤さんなのかと考えていた」
春馬は委員長と中澤さんを疑っていたのか。
「あの二人はただ学力が良いだけじゃなく、クラスの人望も厚くて、周りを先導するセンスみたいなものがあったように思う。
この実験は一見すると狂った殺戮ゲームに見えるけど、半端な学力や能力では準備も進行もできなだろう。そうなると、それができるだけの人物は限られてくる」
そう、この実験は角度を変えれば『心理実験』に他ならない。倫理観とかそういう難しい話を抜きにしても、それを実行するには知識や行動力、皆を巻き込む雰囲気作り、そして実験場の確保。という、大抵の中学生には成しがたいことを行っていることになる。
それができる中学生なんて普通じゃないけれど、春馬の言う通りその2人にはもしかしたらそんな力があったかもしれない。
「私は正直分からないな。だって、こんなこと考えて実行するなんて私たちみたいな子どもには到底無理な気がするから。
アイツ……が、言っていることだってどこまで信じたら良いのか分からない。だったら私は例えそれで自分が危ない目にあっても友達を……皆を信じたい」
こんな極限の状態の時でも、原田さんはやっぱり原田さんだった。優しくて聡明で、人のことを信じられる。それはつまり強い人なのだと僕は思った。
「オレも正直誰かが犯人だなんて考えられないよ。委員長ほどじゃないけどさ、オレもまぁクラスのみんなと関われる方の人間だと思う。
だからこそ、面白いやつがいて、賢いやつがいて、運動ができるやつがいて、音楽ができるやつがいて、絵だけは上手いやつ、彼女を本当に大事にするやつ、選択科目で社会を選ぶ変人みたいなやつ」
田口くんは最後は僕を見ながら言った。僕は自然と笑ってしまっていた。
「本当にいろんなやつがいて、楽しいクラスだった。体育祭とか何気にまとまりがあったりしてさ。
だからオレも誰がアイツなのかなんて、答えはもってないや」
田口くんは優しい人だ。基本的には佐野くんと一緒にイタズラをしたり目立つことをしていたけれど、クラスの人誰とでも話をしたりできる人だった。
「……分かった。で、お前はどう思ってるんだ?上杉」