ケンショウ学級
残された僕達はただその役割を演じて残りの8日間を過ごした。6日目を最後にして、もう誰も会話をしなかったし、食堂での会議が開かれることもなかった。

囚人は囚人らしく、看守は看守らしく。でも、もうそんな役割は特別な意味をなしてなどいなかった。

これまでに、アイツの言うロールプレイによる検証結果は尽く出てしまっていたのだから、そらを目の前で見てきた僕達が、同じ轍を踏むことなどはなく、僕は上杉藍斗として囚人服を着ていたに過ぎない。

原田さんも、佐野くんも、春馬もきっとそうだったんだろう。だから、僕達は殺し合う必要もなかったし、自分から死を選ぶこともなかった。

「……みなさん、お疲れ様でした」

モニターがつき、アイツが2週間ぶりに姿を現した。誰も何も口にしなかった。

「今をもって最後の実験『スタンフォードの監獄実験』を修了とします」

僕と原田さんは独房の中で、佐野くんと春馬は事務室の中で検証修了の声を聞いた。

僕達を苦しめ続けた『ケンショウ学級』はこうして4人の生存者を残して終わる----


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