ケンショウ学級
僕達に提示された未来は3つ。

1つはアイツの名前を書き自分(正当者)だけが生き残る。

1つは誰も名前を書かず80%の確率で生き残る。

1つは自分は名前を書かず誰かが名前を書いたことによって100%死ぬ。

「この3つだけしかないように一見見えるけれど、でもそうじゃない!」

もし全員が春馬が知るモニターの向こうのアイツの名前を書くことが出来たなら、全員が生き残る。という第4の未来が現れる。

「……いや、これは」

もしこの仮説が当たっていたとしたら、春馬は“モニター越しのアイツ“ではない。僕らの教室にいた犯人は春馬なのだから、モニター越しの犯人は別の人物だということになる。

だとしたらあの教室に春馬と居た僕と佐野くん、原田さんという可能性も無いわけで……でも、何か引っかかる。

拭いきれないこの違和感の正体はなんだ?1番初めから思い出す必要があるのかもしれない。最初の犠牲者。えっと……

「あの日、2年生だけは部活がないと言われていた。野比先生の左頬には大きなガーゼが貼られていた。それは『パブロフの犬』での唾液を観測する手術を既に行っていたから……」

クラスで初めて犠牲となったのは小野さん。第一実験室の中で気絶をして罰を受け殺された。野比先生は僕達が死ねと望んだことでアイツによって絞殺された。罰か……

「罰は基本的には電気ショック……でも口でそう言われても本来恐怖はそこまでない。なのに僕らを従わせることが出来たのは……」

そうか、違う。最初の犠牲者は小野さんじゃない。僕らの目の前で初めて電気ショックの罰を受けたのは、ビデオを見ている時に出ていこうとした佐野くん達を止めた……

「……大上先生が『アイツ』?」




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