ケンショウ学級
「ちょっ、毎日やめろよ茜(あかね)」
「てか毎日、同じドッキリでここまでのリアクション取れるの凄いよね。慎二」
僕は鏑木 慎二(かぶらぎ しんじ)。
容姿はまぁ平凡?勉強は嫌いじゃあないから成績は学校では良い方。
苦手教科は机でしない授業。つまり音痴で運痴。
社会科クラブ所属の中学二年生。
最近はよくテレビで心理学が話題になるから、心理学にも興味を持ち始めた。
「あれ?茜、今日はラケット持ってないんだな」
「うん、なんか分からないけど昨日コーチに二年は部活なしって聞いたのよ」
「二年だけ?なんだそれ」
榎本 茜(えのもと あかね)は小学校からの幼馴染みで恋人。
バドミントン部の期待のエースってやつで、先月の県大会では三年生に一人混ざって団体戦のメンバーに選ばれていた。
いつも気さくで、僕のおふざけにも笑って付き合ってくれる凄い良いやつ。
容姿も勿論可愛いと思うけれど、何より笑顔が好きだった。
「おー、榎本この時間は珍しいな。
朝練どうした?」
校門の前で立つ生活指導と社会の先生が僕は正直少し苦手だ。
茜はその先生を見つけると走って寄って行った。女子ウケがよく、男子からも人気なのになんでだろう?
僕はこの先生が苦手だ、生理的に何か受け付けてはいけないような危険みたいなものを感じている気がした。
「笹木先生おはようございます。
なんか今日は二年は部活なしって聞きましたよ?」
単発で身長が高く、容姿も整っている。なんでも学生時代にはテニスで全国大会で活躍したこともあるとか。なんで、そんな先生が体育じゃなく社会なんて教えているのか不思議だった。
「春馬先生はいつになったらバド部の顧問になってくれるんですかー?」
茜とのそんなやり取りもよく見るけれど、笹木春馬先生は社会科クラブの顧問をしている。
「……先生も色々と忙しいんだよ。な?慎二くん」
そう言ってなんだか笹木先生は悲しげに笑っていた様な気がした。
その、ほんの少しの違和感にもしも気づくことができていたのなら僕は、僕らはこれから始まる陰惨な殺戮ゲームに巻き込まれることはなかったのかもしれない。
そう、僕らは後悔するのが遅すぎる。社会の授業で笹木先生がビデオを観るように言った。
そこには暗い教室が映し出され、顔も見えない人がカメラの脇から映り込んできて座った。
変声機の奇妙な声は、不気味に僕らの耳に鳴り響いていく。
「えー。協栄中学二年四組の皆さん初めまして。
君たちはこの国のよりよい未来のためにある研究に参加して頂くことになりました」