ケンショウ学級
「さぁ皆さん、少し移動をしましょう」
僕らは恐怖心をなんとか押さえ込みながら、恐る恐るその唸り声のする場所へと近づいていく。
「うぅぅぅぅぅぅう!
うあああああぁっ!!」
見えないけどこの奥から確かにうなり声が聞こえていた。
この奥に移動しなくちゃいけないなんて、嫌だよ。
「なにこれ?暗幕?」
学級委員長の友澤 洋平(ともざわ ようへい)が、率先して前に出て、近づいた僕らの三歩ほど先の暗闇に幕があることを発見した。
「幕?なんだよ、委員長開けろよ」
「あ、ああ」
僕だったら無理だ。
この状況で皆よりも前に出ることも、そこに暗幕があることを見つけたとして、それを開くだなんて無理だ。
友澤くんは皆を見渡した。
そして、震える手を一度見つめて意を決したようだ。
「開けるぞ!うおおおおおっ」
友澤くんが幕に手をかけると僕らがいる暗い部屋に光が流れ込んできた。
暗幕の向こうは、さっきまでいた部屋より一回り小さく、そして少しだけ明るかった。