ケンショウ学級
サイレンが止んでケンショウが終わった。
これで終わりだよな?
「ん?なんか臭くね?」
「え、うそ」
壁際からそんな声が聞こえた。
人ってのは不思議なもので、何かが臭いと言われると臭いを嗅いでしまうものだ。
この匂いって、もしかして…………
「うわ!お前、小野まじかよ」
小野さん?
確か小野さんは原田さんと一緒に向こうの壁際に。
「お願いだから、こっち見ないで!!」
皆の視線がその壁際に向きそうになった時、原田さんの叫び声が聞こえた。
原田さんいったい何が。
「あっ…………」
原田さんが小野さんの前に出て、小野さんの姿を隠すほんの少し前に僕は全てが見えてしまった。
「うわ、失禁?
漏らしてるよ、まじくせぇんだけど」
「うわ、この歳でお漏らしとかひくわー」
体操座りをして、顔を隠すようにしていた小野さん。
よほど今の実験が怖かったのか、オシッコを漏らしてしまっていた。
覗いたわけじゃないんだけど、スカートの隙間からピンクと白のボーダーのパンツが見えてしまった。
そのパンツが濡れていて、小野さんの下の床にオシッコの水溜まりが出来ていたことも全部。
「こんなに震えている友だちを、そんな目で見て何が嬉しいの?ねぇ!」
原田さんの必死の言葉に僕は胸が少しチクっとした。
そんな気持ちから目を背けようと思ったのかはわからない。
特にそれ自体に意味などなかったのかもしれないけど、少しだけ首を右下に動かした時。
僕の視界の端にそれは写っていた。
「え?うわっ!」
僕は驚きのあまり尻餅をついた。