ケンショウ学級
「藍斗?どうした」
春馬と小池っちが僕に駆け寄った。
でも、僕の視線は一点に釘付けになっていた。
「あ、あいつが…………!」
そう言って僕は小刻みに震える指でそれをさした。
その先には鼻を大きく広げて、ふーふーと荒息をたてながら鎖の限界まで引っ張ってこっちを見ている男の姿をだった。
男のすぐ近くにいた最上さんも、跳ねる様にその場から離れた。
「キモ…………なんかこっち見てるよな?」
「まじ、なんなんだよこいつ」
鼻で臭いを嗅いで何かを探すように首をしきりに横に振っている。
「なぁ、あのオッサンもしかして…………」
「小野のオシッコの臭いにつられて来たんじゃねぇの?」
その言葉を聞いた小野さんがびくっと大きく身体を震わせ。
そして頭を抱えながら悲鳴をあげる。
「いやぁああああああ!
もう来ないで!止めてよ!!もう十分でしょう!!?」
「真緒!真緒おちついて!真緒」
原田さんがすぐに肩をつかんで小野さんを落ち着かせようとする。
どうやら男の狙いは小野さんだったようで、小野さんの悲鳴に反応してその方向だけを見るようになった。
「いや!いやぁああああああ!!」
頭を抱えながら足をバタつかせると、先ほど水溜まりを作った自分の尿がピチャピチャと音をたてた。
そしてこんな混乱も嘲笑うかのようにアイツがモニター越しに姿を現す。