ケンショウ学級
どうして小野さんがあの時点で、鎖につながれる男が野比先生だと気付いたのかは分からない。
だけど、小野さんにとってそれほどまでの恐怖を感じる理由が、原因が何かあったのだろう。
「さぁ、小野さんは気絶をしてしまい現在脳波の測定に意義が見られない状態になってしまいました。
悲しいことですが、検証への参加価値なしと見なし大上先生の様に死んでもらいます」
僕は思いきり伸ばした手で原田さんの二の腕を掴み、そして飛ぶようにして小野さんが居ない方の空いている空間に向かってダイブをした。
それは原田さんの手が小野さんから離れた瞬間だった。
バチバチィ!!と閃光を撒き散らしながら突如小野さんが電気に飲み込まれた。
「うわぁあああああああ!」
「嫌。こんなの、真緒!真緒ぉお!!」
意識のない床に転がる小野さんの身体が焦げながら床を跳ねる様にバタバタと暴れる。
高圧電流が身体中をかけめぐり、無意識に筋肉が電気信号と勘違いし筋肉の伸縮をさせているのだ。
「うわ、もうやだよ」
「死んだ?ねぇ、小野さんは死んだのかよ!?」
電気ショックは収まったが全身が真っ黒焦げになった小野さんの身体は、まだ完全に放電されていない電気に反応してピクピクと痙攣していた。
人体が焦げた匂い。
本当だったら一生嗅ぐことのなかったその匂いを僕らは一日の内に二回も嗅ぐことになってしまった。
「真緒なんで…………?
なんで真緒が死ななくちゃいけなかったの?答えてよ!!!」
原田さんは立ち上がり、怒りを露にしながらモニター越しの男にそう叫んだ。
「え?なんで小野さんが死んだのかって?だからさっき理由を説明したじゃないか。
彼女は脳波の測定に意義が見られない状態になって、検証への参加価値がなくなったから死んでもらうって」