ケンショウ学級

「眞木さん、60分出血量は…………1064.52ccです。

身体に異常はありますか?」

1リットルの出血。

眞木さんに反応はない。

「眞木さん。身体に異常はありますか?」

「…………むい。さ…………いの」

「皮膚温度に異常が現れ始めましたね。

ここからの出血の継続は内臓器などにも影響が現れる可能性が高くなります」

憔悴しきっていた。

どうして?ただ横たわっていただけなのに。

これが思い込みの力だとでも言うのか?

だとしたら、僕らの身体って。

「堀田くん、60分出血量1097.01ccです。

身体に異常は…………」

「中村さん?中村さん?どうしました?」

堀田くんの状態を確認する最中で、急に中村さんのモニターが慌ただしくなる。

「中村さん聞こえますか?中村さん?」

白仮面が何度も中村さんに声をかけるが、反応がない。

「中村さん、60分出血量1156.69cc。

脈拍異常、皮膚の蒼白、意識消失を確認。内臓器不全によるショック状態にあります」

「なんで!そんな!?」

この実験で中村さんはずっと「特にありません」と言っていた。

まさか強がりだったのか?

だとしても、そんな思い込みだけでショック状態に陥ることがあるなんて。

だとしたら、このままの状態が続いたら中村さんは…………中村さんは。

「嘘だろ。中村、じゃあ紗由理は?」

突然に不安が押し寄せてきた。

僕らまで、あの容器に溜まっているものが三人の血液なのではないかと錯覚し始めているのかもしれない。

< 84 / 235 >

この作品をシェア

pagetop