99%思い通り
99%思い通り


「二十五時の海が見たい」


既に二十三時を回った時計の針。
一瞬、躊躇った指先でリツのメモリを呼び出し、ただひと言そう告げた。

電話の向こうに漂うのは、気だるい空気だった。

でも、知っているんだ。
決して『うん』とは言わないリツからは、『今すぐ行くから』なんて言葉は聞けないけれど、どこへいても、誰と一緒でも、いつだって真っ先に私の元へ駆けつけてくることを。
愛車を飛ばして来てくれることを。

知っているんだ。
リツが私を一番に想ってくれていることを。

それでも、実際に顔を見られるまでは、いつも不安でいっぱいの私。
今度こそ来てくれないかもしれない。
いい加減、私のわがままに呆れているかもしれない。

そういった相反する想いを抱えながら、小さな恐怖心と闘いながら、リツを待つ。


一年前の今日、想いを告げてくれたふたつ年下のリツを受け入れることができなくて、毎日わがままに付き合わせてばかりきた。

いつだって何も言わずに受け止めてくれるから、いつからかリツの反応で、愛の大きさを確かめるようになった。
わざと試すようなことばかりを繰り返してきた。

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