99%思い通り

少しだけ不機嫌そうなものの、リツの顔を見てやっと不安から解放された。

今夜も来てくれた……。

でも、喜んだ素振りは見せたくないばかりに、「たまにはいいでしょう?」と、余裕を見せつけて微笑んだ。

私の強情な態度には慣れているはずなのに、聞こえないくらいの小さなため息を、リツがこっそりと吐く。

どことなく、微妙に感じる空気感の違い。
それは、神経が研ぎ澄まされた今夜だから、自分にとって特別な夜になるからこそ感じるのか。

それとも……?

彼の態度の硬化を漠然と感じた。


リツの愛車の助手席に身体を埋めると、車は急発進で街を駆け抜けていく。

ずっと押し黙ったままのリツの顔を横目にチラリと見ると、真っ直ぐ前だけを凝視し、私が隣に乗っていることさえ忘れてしまっているかのようだった。


「リツ……?」


小さく呼ぶ声にも彼は無言を貫き、心ここにあらずと言った表情を浮かべたまま、ステアリングを握る。
普段から口数が多い方ではないリツだけど、これほど無口なのは珍しいことだった。

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