99%思い通り
「リツってば」
いつもそうしているように、リツの頬を軽くつねってみたのに、それでも何も反応しない。
ふざける真似をして、今度はその頬に唇を軽く押し当ててみた。
行きすぎた行為だ。
友達関係の二人ならば、決して踏み込んではいけない領域なのは、百も承知。
でも、これがきっかけになれば。
二人の関係を変えるスイッチになれば。
内心おそるおそるリツの顔色を窺いながら、そんな想いを唇に乗せた。
結果、やっぱりノーリアクション。
それどころか、更に機嫌の悪さを漂わせてきた。
……どうしたっていうの?
心細さが輪をかける。
今夜に限っては私に呼び出されたのが、よほど気に入らなかったのか。
わがままを言うことでしか愛情を測れないなんて、最低ラインの女のやり方だと分かってる。
でも、それも今夜で最後だから。
――今夜こそ。
一向に相手をしてくれないリツを諦め、シートに身体を預けた。
窓の外を流れる景色。
街明かりを追い越し、すれ違う車もなくなっていく。