99%思い通り

強がってみたものの、大きく膨らんだリツへの想いを塗り替えることはできなかった。

巡り巡って返された仕打ち。
それは、当然の報いだった。


穏やかな波の音に導かれるように、砂浜を海に向かって歩く。
昼間の太陽光をすっかり放熱した砂は、海風で冷たささえ感じるほどだった。

砂に埋もれるミュールが鬱陶しい。

リツにねだって買ってもらったものだけど、脱ぎ捨てて、海に向かって投げつけた。
リツにぶつけるように、力いっぱい。


リツなんて……どこかに飛んで行っちゃえばいいんだ。


月光に照らされて弧を描いたミュールは、ポシャンという音と共に波間に消えて行った。
リツと私の間にある糸をプッツリと断ち切るように。


間もなく頭上に差しかかる満月。
それは一段と遠くなった空の上から、静かに私を見下ろしていた。

満月は、エネルギーを一番受けられる。
人に影響を与えやすい。
そんなことをテレビで聞きかじったから、この時間を狙ってここへ来たというのに。
やっと決心したというのに。

一年前に戻れるとは思わないけれど、同じこの場所から始めたかった。

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