夜明けの恋人。

「なんで…匤、ここ、に…?」


もしかしたらこれは夢なのかもしれない。
視力もほんとのほんとは戻ってないのかもしれない。

今、見えているのは、
私の勝手な想像上の匤なのかもしれない。

そんな不安が私を襲った。


「ヒーローは遅れてやってくるってな」

ははって笑いながら言う匤の声に、
不安なんて吹き飛ばされた。

声だけじゃない、
ずっと、ずっとずっと
見たかったあの笑顔も、
これからは私の不安を取り除くものになっていくだな。

それがすごく嬉しい
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